ジェネリック業界を取り巻く厳しい現状

安定供給の問題と少量多品目

 ジェネリック医薬品のシェアは約79%と今や医療のあらゆる分野で欠かせない存在になっています。

後発医薬品の使用割合(全国平均)は、79.24%であった。

保険者別の後発医薬品の使用割合(令和3年9月診療分)を公表します|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 しかし、ジェネリックメーカーは比較的規模が小さい会社が多く、前回の記事で書いたように少量多品目生産になりがちです。少量多品目の製造では同じ製造設備を多くの品目が共有することになるため、品目切り替えのための洗浄作業などが頻繁に発生します。このような構造は非効率的であり、日医工などの品質問題が発生した原因の一つです。

 そして、皮肉にもジェネリック医薬品が医療分野で欠かせない存在になってしまったことも問題に拍車をかけていると考えます。

 医療上の必要性が特に高く欠品が許されない品目として「安定確保医薬品」と呼ばれる品目があります。これらの多くはジェネリック医薬品であり、ジェネリックメーカーはこれらの品目の欠品に特におびえています。

安定確保医薬品リスト(令和3年6月1日修正版)

安定確保医薬品リスト(令和3年6月1日修正版) (real-world-evidence.org)

 さらに、これらの品目は古くからあるものが多く、最低薬価になっているものが大量にあります。アスピリンやアセトアミノフェンのような解熱鎮痛剤、スピロノラクトンやフロセミドのような降圧利尿剤などがその筆頭であり、需要が多い割には薬価が低いため企業にとっては作れば作るほど赤字になってしまうことも多いでしょう。しかし、いくら赤字だからといって「安定確保医薬品」になってしまった以上は簡単に薬価削除もできず、赤字覚悟で製造を続けるしかないのです。

 従業員からしても、自分がいくら頑張って製造しても赤字を拡大するだけだとなったらやる気も低下します。もちろん、国もこの現状は認識しており、近年は最低薬価の品目を薬価引き上げした事例もあります。しかし、それはジェネリックメーカーの業績悪化に対して全く追い付いていないのが現実です。

 さらに昨今のインフレ傾向も薬価が固定されている製薬業界には痛手です。原料の値段は上がるのに製品の値段は国に決められていて変えられないのですから。これはジェネリックだけでなく先発にもいえる問題ですね。

最後に

 ジェネリック業界にいると暗い話ばかり耳にします。しかし、私にとっては非常に楽しい業界です。なぜなら、先発メーカーに比べて遥かに品目数が多いということはそれだけ多くの品目に関わるチャンスに恵まれているということだからです。厳しい業界ですが、決して悪いことばかりではないと思っています。

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